羊だって、変るんです。
「甲斐インコーポレート 神宮寺?・・・!?神宮寺財閥の!?」
男たちの顔が蒼白になっていくのと、凱の瞳に殺気が宿るのと同時だった。
今なら目だけで人が殺せそうな位の殺気を振りまいている。
「目障りだ。さっさと失せろ」
抑揚も無く、淡々とした口調だが、眼光は鋭く、睨まれ縮み上がった男たちは、凱の言葉に弾かれたように逃げて行った。
あんな奴らの所為で、杏奈の心に傷が付いたのかと思うと、殺意が沸いた。
『よく殴らずに済んだな』
高ぶった気持ちを落ち着かせようと、大きく息をしてから商店街に居る杏奈の方を見る。