羊だって、変るんです。




「もう、子供じゃないんだから挨拶なんて後でいいよ!」

「今まで我慢したんだから、まだ・・大丈夫」

少し苦しそうな顔をして部屋を出て行った凱を見て、どれだけ自分が凱を振り回していたのかを気付いて真赤になった。



― ふざけるな、どれだけ我慢してると思ってる! ―


飲み会でのやり取りは覚えていないが、後から鈴木に聞いた話で、凱はそう言っていたらしい。

この我慢の意味がようやく分かり、申し訳ない気持ちになった。

「でも、両思いなんだから、我慢しなくていいじゃない」

本当にクソが付く真面目さに腹を立てつつ、それだけ大事にされている事も実感した。

結局一緒に居るのが申し訳なくなったので、凱に帰る事を告げて部屋を後にした。


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