昼休みが終わる前に。




それから数日後。私に突きつけられたのは、あまりにも非情な現実だった。


「さっき学校から連絡があったんだけど……」


お母さんは私の手を握り、歯を食いしばりながら言った。




「誰も助からなかったって」




誰も助からなかった、という言葉の意味を理解するのに、長い時間がかかった。言葉の意味は理解できても、それをすぐに受け入れることはできなかった。


呆然とする私に向かって、お母さんが何か喋り続けている。しかし耳鳴りがひどくて、何も聞こえなかった。


呼吸が苦しい。吸っても吸っても、酸素が肺の中へ入っていかない。まるで自分の周りだけ、空気が薄くなったみたいだった。


すっと視界が暗くなり、その瞬間、私は意識を失っていた。



< 10 / 233 >

この作品をシェア

pagetop