昼休みが終わる前に。
「……でさー、俺自分で仕掛けた罠に自分で引っかかって、すっ転んだんだよ。バナナの皮ってマジで滑るんだな」
「あははっ、何それ。マジうけるんだけど!」
「唯人って本当バカだよな」
「なんでこんなバカが、クラスで一番頭のいい凛々子ちゃんと付き合ってるのかわからない」
「ちょっ、カズも委員長も、今日はいつにも増してひどいな。俺、ちょー傷ついたんですけどぉ」
唯人はすねたように唇を尖らせた。その仕草がおかしくて、みんなの笑い声はいちだんと大きくなった。
楽しい、と思った。楽しすぎて、このままずっとこの昼休みの教室に閉じこもっていたいと思った。
もしもみんなと一緒にいられるのなら、永遠にここから出られなくてもいい……
けれどいくらそう願ったところで、私が見ているものはすべて現実であるのと同時に、かりそめで。
永遠には、続かない。