昼休みが終わる前に。


「私は本当に大丈夫ですから。お願いします。ここに来させてください」

「でも……」

「わがままなことを言ってるのは百も承知です。ですけどお願いします」


私は深く頭を下げた。


「確かにここに来ると、3年1組のみんなのことを思い出して、ちょっと感傷的になってしまいますけど、ただそれだけです。私は誓って“幻覚”なんて見ていませんし、現実との区別がつかなくなるなんてことは、絶対にないです」

「もう一度聞くけど、本当に大丈夫なのね?」

「はい」

「凛々子さんが絶対に大丈夫だと言うなら……わかったわ」

「ありがとうございます」


承諾はしてくれたものの、先生の目にはまだ不安の色がくっきりと浮かんでいる。


その視線が私には痛かった。


心配をかけてしまって申し訳ないと思う。思っているのに、ここに来ることをやめることはできそうになかった。


「できれば明日も来たいのですが……」


言ってから、明日が土曜日だということを思い出した。



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