昼休みが終わる前に。


「なんで学校にいるの? 今さっき、駅前の古本屋で時間潰してるってメールくれたよね?」

「メール……?」


何の話をしているのかわからなかった。


首をかしげている私に、唯人はスマホの画面を見せてきた。




『悪い! 学校に肝心の宿題のプリント忘れてきちゃったの、今思い出した(>_<;) 今からダッシュで取ってきてもいい?』

『いいよ。じゃあ私は駅前の古本屋で時間潰してるね』

『本当にごめんm(_ _)m』

『いいよ、いいよ。急がなくて大丈夫だから、気をつけて来てね(^-^)/』




「あぁ……」


メッセージのやりとりを見て、十二年前の10月21日の記憶が蘇った。


そうだった。今日は唯人と駅前の喫茶店で、一緒に宿題をやると約束していた日だ。


唯人が学校に宿題のプリントを忘れて取りに行ったことは覚えているけど、それがちょうど“この時間”だったのは覚えていなかった。


まさかこんな偶然があるなんて。



< 134 / 233 >

この作品をシェア

pagetop