昼休みが終わる前に。


生きていれば、もちろんつらいことはある。悲しいことや苦しいことは山ほどある。


それでも唯人が……


みんながいてくれれば、


どんなつらいことでも乗り越えていけるような気がした。


「うぅ……」


喉に嗚咽が渦巻いた。目の奥が熱くなった。


「リリ、どうしたの?」

「ちょっと目にゴミが入って」

「大丈夫?」

「うん。もう取れたから大丈夫」


私は顔を横に向け、薄っすらと涙の溜まった目元を指先で拭った。


……ダメ。考えちゃ、ダメ。


もしもあのときこうだったら……って考えたところで、過去が変わるわけでもないし、死んだみんなが生き返るわけでもない。


別の未来に思いを馳せれば馳せるほど、現実とのギャップが浮き彫りになって、かえって苦しくなるだけ。



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