昼休みが終わる前に。
先生に連れられて、旧校舎にやってきた。
裏口から靴を履いたまま中に入ると、懐かしい匂いがした。旧校舎特有の温かい木の香りだった。
短い木造の廊下も、足を乗せると軋み音を立てる階段も、建てつけの悪いガラス窓も、あの頃のままで、何ひとつ変わっていない。
みんなと過ごした日々が蘇り、つんと鼻の奥が熱くなった。
あれからもう十二年も経つというのに、みんなとの思い出は一向に色褪せない。それどころか、時が経てば経つほど、よりいっそう輝きが増していってる。
階段を上りきり、三階の廊下を歩き始めた。
3年1組があった教室に近づくにつれ、次第に動悸が激しくなっていった。歩いているのに、足が床を踏んでいる感覚がしない。