昼休みが終わる前に。
私はバスに乗って、祭り会場である梢田公園に向かった。
バスを降りると、辺り一面に夕方の陽射しが降り注いでいた。アスファルトに反射して目の中に飛び込んでくる光が、視界をオレンジ色に染め上げる。
子供連れの家族や学生、老人の団体が、公園に続く一本道を歩いている。人々の足音や話し声に、道路を走り去って行く車の音が重なる。
さすが年に一度の大きなお祭りなだけあって、普段はがらんとしている公園に色とりどりの屋台がひしめき合い、大勢の人でガヤガヤと賑わっていた。
入り口のすぐ脇に、大きな木があった。
私は幹に寄りかかり、木陰の下でぼんやりと祭の風景を眺めた。
こうしていると、クラスのみんなが私に向かって、こっちにおいでよ、と手招きしている姿が見えるような気がした。