昼休みが終わる前に。


「ふわふわしてて、美味しいですね」

「うん、本当に美味しい。一度食べ出したら止まらないや」

「信広さん、甘いものがお好きなんですもんね。先生から聞きました」

「そうなんですよ。食べ物は基本的に何でも好きなんですけど、甘いものは特に好きです。実は昨日凛々子さんがくれたクッキー、美味しすぎて俺がほとんどひとりで食べちゃったんですよ。母さんへのプレゼントだったのに、すみません」

「あははっ、謝らないでください。そんなに美味しいって言っていただけて嬉しいです。もしよければ、また私がお菓子を作ったとき、もらってください」

「ありがとうございます。楽しみにしてます」


信広さんの瞳が、子供のように輝いた。


切れ長の目をしたクールな外見とは裏腹に、少年のような人だ。その曇りのない素直さは、少し唯人に似ている。



< 170 / 233 >

この作品をシェア

pagetop