昼休みが終わる前に。


「凛々子さん、昨日はよく眠れましたか?」

「はい。熟睡しすぎて、目が覚めたら11時過ぎてました。危うく寝坊するところでしたよ」

「ははっ、よっぽど疲れていたんですね」

「信広さんは?」

「俺は朝早く目が覚めちゃったんで、ずっと本を読んでました。俺の場合は物語に夢中になりすぎて、危うく遅刻するところでしたよ」

「そんなに夢中になるなんて、その本、よっぽど面白いんですね」

「えぇ。主人公の男の子が、クラスメイトの女の子が飼っている猫と入れ替わっちゃうお話なんですけど、それがまた面白くて」

「あははっ、確かに面白そう」




やっぱりこの人と話していると、会話も気持ちも弾む。


無意識に笑顔がこぼれる。


凍った心が


少しずつ溶けていく……




< 183 / 233 >

この作品をシェア

pagetop