昼休みが終わる前に。


「凛々子ちゃんにあらかじめ言ってあった通り、今日は私たちがお昼ご飯を用意してきたから、その準備をしている間、ちょっと待っててね」


智ちゃんたちは机を繋げ始め、そこにせっせと料理を並べていった。


いなり寿司、サンドイッチ、からあげ、ウインナー、サラダ……すべて並べ終えると、智ちゃんは教壇に上がった。


「今日のお昼はバイキング形式です。そこの紙皿を使って料理を取ってね。それではみなさん、手を合わせてください」


パンッ、という音が教室の中に響いた。


「——いただきますっ!」


次の瞬間、みんなは一斉にテーブルに駆け寄り、押し合うようにして料理を取り始めた。


「おーっ、このからあげ美味そう!」

「おい、和也! 取りすぎっ!」

「へへーん、早い者勝ちだもんねーだ」

「和也くんがその気なら、私だって!」


まるでバーゲン品をを巡って大乱闘を繰り広げている主婦たちみたいだった。もはや誰も紙皿を使っておらず、タッパーから直接食べている。



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