昼休みが終わる前に。
「こんな話、信じられませんよね」
「いえ、俺は信じます」
「えっ?」
「凛々子さんは幻覚を見ていたわけじゃなくて、十二年前にタイムリープしていたんですね」
その眼差しから、彼が口先だけではなく、私の話を心から信じてくれていることがわかった。
「信広さんが信じてくれるなんて、なんか意外です。そういう非現実的なことは信じない主義だと思っていたので」
「むしろその逆ですよ。タイムリープはもちろん、幽霊とか、UFOとか、未来予知とか、そういうの全部信じてるんで」
本当に意外だった。どこか冷めた印象が強い信広さんからは想像もできないような純粋さだった。
こんな風にタイムリープの話をして、すんなり信じてくれるのは、唯人だけだと思っていた。
「こんなことを言ったら、気を悪くされるかもしれませんが、俺は凛々子さんがうらやましいです」
「私がうらやましい……?」
「だってたとえほんのわずかな時間でも、本来なら二度と会うことのできないはずの人と会えたんですから」
「もしかして……信広さんも会いたい人がいるんですか?」