昼休みが終わる前に。


何、これ? 


私、夢でも見てるの?


もはや夢だろうと幻覚だろうと、そんなことはどうでもよかった。


止めなきゃ、と思った。


みんなが修学旅行に行くのを止めなきゃ!


「みんな、修学旅行に行かないで! 行ったら死んじゃうっ!」


声がひっくり返って、教室の中に甲高く響いた。私の発した声があまりにも大きかったせいか、その場にいた全員が驚いたような顔で私の方を振り向いた。


「ちょっと、リリ。マジでどうしちゃったんだよ」

「私、十二年前に戻ってるの」

「十二年前に……戻ってる……?」

「そうなの! みんな修学旅行で事故に遭って死んじゃって、私ひとりだけ行かなかったから助かっちゃって、旧校舎の取り壊しが来週から始まるって松下先生から連絡があって、それで……それでっ……」

「リリ、落ち着いて」


唯人はパニックを起こしている私の両肩に手をかけた。


こんな状況で落ち着いていられるはずがなかった。


だって私、あの事故が起こる前に戻ってるんだよ?




事故が、


起こる、


前に……



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