昼休みが終わる前に。
私は笑顔を作り、みんなと向き合った。ひとりひとりの顔を、しっかりと目に焼き付ける。
「私、みんなと一緒にいた時間が、人生で一番楽しかった。くだらない冗談に腹を抱えて笑い合ってるあの時間が、大好きだった。みんな、今までありがとう。私が今、こんな風に笑顔でいられるのは、みんなが別れの悲しさよりも、出会いの素晴らしさを教えてくれたからだよ。本当にありがとう」
「凛々子ちゃん……」
智ちゃんはかけていたメガネを外し、ハンカチで涙を拭った。
「あまりにも突然すぎて、なんて言ったらいいかわからないけど、離れ離れになっても、凛々子ちゃんはずっと私たちの仲間だからね」
沙恵ちゃんと和也くんも、私の傍らで力強くうなずいた。
「急に知らない国に行かなきゃいけなくなって、不安でいっぱいだと思うけど、凛々子はひとりじゃないからね」
「そうだよ。物理的な距離は遠いけど、俺らの心はいつでも凛々子のそばにいるから」