昼休みが終わる前に。




まだ10時前か……


これで時計を見るのは何回目だろう。時間が経つのがとてつもなく遅く感じる。


松下先生にはお昼の12時頃に行くって言っちゃったけど、本当は今すぐにでも行きたい。


……行きたい。


もう、この気持ちを抑えられそうになかった。


私はテーブルの上に置いてあるバッグを手に取り、玄関を勢いよく飛び出した。






昨日と同じように裏門から学校に入り、玄関に置いてある職員呼び出しベルを鳴らした。


数秒してから、はい、と声がした。


現れたのは松下先生ではなく、若い女性だった。たぶん私より年下。新しい先生なのか、見たことのない顔だった。


「あの、すみません。白石ですが、松下先生はいらっしゃいますでしょうか?」

「はい、いますよ。呼んできますね」

「ありがとうございます」


彼女は職員室の方に戻っていき、入れ替わりに松下先生が廊下から顔を出した。


「おはよう、凛々子さん」

「すみません。12時頃に伺うって言っていたのに、こんなに早く来てしまって」

「いいのよ。気にしないで。それじゃあ、行きましょうか」



< 40 / 233 >

この作品をシェア

pagetop