昼休みが終わる前に。
「凛々子ちゃん、何、騒いでるの?」
「大丈夫?」
「どうしたんだ?」
智ちゃんと沙恵ちゃん、それから和也くんがこちらに駆け寄ってきた。他のみんなも、何事かと私の周りに集まってきた。
「みんな、聞いて!」
動揺を抑えられず、声が震える。
「修学旅行に行っちゃダメ。行ったら全員死んじゃう。私、未来から来たの。正確には十二年後の7月23日なんだけど……」
しどろもどろになりながらも、とにかく続けた。私の話に、みんなはぽかんと口を開けている。
何か……
なんでもいいから何か、
自分が未来から来たことを証明できるものは持ってないの?
私はスカートのポケットに両手を突っ込んで掻き回した。出てきたのは、当時使っていた花柄のハンカチ一枚だけだった。
さっきまでズボンのポケットに入れていたはずのスマホがどこにもない。
スマホの中だったら、未来の写真とか、メールとか、何か証明できるものがあるかもしれないのに。