昼休みが終わる前に。
「とにかく信じて。私、未来から来たの」
「……ぷっ」
懸命に訴える私をよそに、沙恵ちゃんと和也くんは吹き出して笑った。
「あははっ、何、それ」
「真面目な凛々子が冗談言うなんてめずらしいじゃん」
「冗談なんかじゃない! 本当にみんな死んじゃうの! 修学旅行の日に、バスの事故に巻き込まれて死んじゃうの!」
必死なあまり、出したことのないような荒々しい声が出た。ふたりの笑い声がぴたりと止まる。
沙恵ちゃんは太いアイラインで縁取られた目を大きく見開いた。
「バスの事故で死ぬって……?」
「そうだよ。このままだとみんな死んじゃうんだよ。私、本当に未来から来たの。お願いだから信じてよ」
私は顔をくしゃくしゃにして泣きながら、地団駄を踏んだ。
いい年して子供みたいだった。だけど信じてほしい一心で、冷静ぶっている余裕なんてなかった。
教室内がざわつき始めた。