昼休みが終わる前に。


理不尽なことを言われているにもかかわらず、唯人はごめん、ごめんと優しく繰り返しながら、私の頭を撫でた。


今の私なんかより、十二年前の唯人の方がよっぽど大人だった。


あれだけ取り乱していたのに、まるで魔法にでもかけられたように気持ちが落ち着いてくる。


私は大きく息を吸い、顔を上げた。


「お願い、唯人。みんなを助けたいの。私の話を信じて。お願い……」


唯人は私の手を固く握った。


「わかった。リリが何を言っても、全部信じるから。ひとつひとつゆっくり話してみて」





手のひらを通して唯人の体温が、


生きている証が、


身体の中に流れ込んでくるようだった。




やっぱり夢なんかじゃない。時間が十二年前に巻き戻っただけで、これは現実だ。


過去を変えたい。


みんなが生きている未来がほしい。



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