昼休みが終わる前に。


「一度元の世界に戻ると、すべてがリセットされちゃうのかも」


私は両手で頭を抱えた。


「だとすると、修学旅行当日まで、絶対にこの教室を出るわけにはいかない。みんながあのバスに乗るのを何がなんでも食い止めなきゃ」

「リリ……」

「お願い、みんな。とにかく修学旅行だけには行かないで。行ったら死んじゃう!」


私が喋れば喋るほど、ますますみんなの混乱に拍車をかけた。教室のざわめきが大きくなる。


「なんかマジっぽくない?」

「でもタイムリープなんて、漫画でしか読んだことないよ」

「俺だってないよ。単に昨日見た夢と混同してるだけなんじゃないの?」


半信半疑の声ばかりで、誰も信じてくれない。だけど信じてもらえなければ、予定通り全員、修学旅行に行ってしまう。


「唯人は私の話、信じてくれる? 信じてくれるよね?」


私はすがるような思いで唯人を見上げた。言いながら、目からぽろぽろと熱い雫が滴り落ちてくる。



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