昼休みが終わる前に。
昨日とおとといは、せっかく過去に戻れたのに、泣いてばかりでちゃんと話ができなかった。
もしも今日、十二年前に戻ることができたら、今度こそは絶対に泣かない。
私がちゃんと二十七歳の大人らしく、落ち着いて話をすれば、きっとみんなも信じてくれる。みんなが信じてくれれば、過去が変わるかもしれない。
そうすれば……
私は机の上に視線を移した。昨日五十枚近くプリントアウトした写真を収めたアルバムと、新聞のコピーが数枚置かれている。
アルバムには、十二年後の梢田町の建物や風景、当時はまだ完成していなかった新校舎、それから未来の私が映った写真を収めた。
新聞は十二年前の事故の記事をコピーしたもの。
昨日松下先生に、あの事故の記事が載った新聞を学校のどこかに保管していないかと聞いたら、すぐに持ってきてくれた。
胸が苦しくなるような内容だった。それでも目を逸らさずに、最初から最後まで全文読んだ。