昼休みが終わる前に。


新聞記事をコピーして持ち帰りたいと頼むと、先生は気の毒そうな顔をしつつも、どうぞと言った。


これらさえあれば、未来から来たという証明になる。だけどそれを過去に持ち込めるかどうかは定かではなかった。


昨日はポケットに入れていたはずのスマホも、肩にかけていたはずのバッグも、過去に戻ったらなくなっていた。


持ち込めない可能性の方が断然高いけど、できることはすべて試したい。


私は新聞のコピーとアルバムを鞄に入れ、手早く身支度を整えて学校に向かった。






学校に着き、玄関のベルを鳴らすと、すぐに松下先生が出てきた。


「こんにちは、凛々子さん」

「こんにちは」

「今日も暑いわね」

「そうですね」


短い沈黙を挟んで、先生は「あの」と改まった調子で言った。


< 66 / 233 >

この作品をシェア

pagetop