昼休みが終わる前に。
「さっき唯人くんがしたように、自分のしおりの表紙に『修学旅行に行っちゃダメ。行ったら死ぬ』って書いてほしいの。万が一明日、凛々子ちゃんの言う通り、私たちの記憶がリセットされても、全員のしおりに同じことが書いてあれば、異変に気づくはずだから」
智ちゃんがそう言うと、みんなは一斉に冊子の表紙にペンを走らせ始めた。
胸が焼けるように熱くなった。
私は天井を仰いで、わっと手放しで泣いた。何か言おうとして口を開いたけど、言葉にならなかった。言葉の代わりに涙が溢れてくる。
これで本当に過去が変わるかもしれない。
みんなと一緒に中学を卒業して、一緒に年を取って、大人になって。
進む道は別々だけれども、電話一本でまたこの場所に集まることができる未来。
たとえどんなに離れていても。
地球の反対側に行ってしまったとしても。
生きている限り、
必ずまた会うことができる。
ふいに、二十七歳になったみんなと思い出話に花を咲かせながら、肩を叩き合って笑っている未来が、頭の中に広がった。