昼休みが終わる前に。
【第5章】悲しい雨音
♢♢♢♢♢
目を覚ますと、けたたましい蝉の声ではなく、雨音が部屋の中を満たしていた。
私は泣き腫らした目をこすりながらベッドから起き上がり、カーテンを開けた。
雨が道路を叩いている。太陽は出ておらず、電気をつけないと手元すらよく見えないほど視界が薄暗い。
昨日あれから何度も教室の出入りをおこなってみたけど、結局、タイムリープは起こらなかった。
やはり時間が巻き戻るのは、一日に一度だけ。その日一番最初に教室の中に足を踏み込んだとき。
なぜ過去が変わらなかったのか、いくら考えてみてもわからなかった。
たとえ記憶がリセットされてしまったとしても、あのしおりのメッセージを無視して、みんなが修学旅行に行ってしまったとは思えない。
だったらどうして……