昼休みが終わる前に。


10月25日。


私はその日の朝、急に原因不明の高熱を出し、楽しみにしていた修学旅行に行けなくなってしまった。


昨日あれだけ元気だったのに、なんで突然……


早く熱が下がってほしい。それで一刻も早くみんなと合流したい。


そう思っていた矢先だった。お母さんが血相を変えて部屋に飛び込んできたのは。


その表情から、ただごとじゃないのは感じ取れた。私は節々の痛む身体を起こした。


「どうしたの?」

「今、ニュースで流れてるんだけど……」


お母さんは大きく息を吸い込み、吐き出す息の中で言った。


「梢田中学の生徒たちが乗ってたバスが、高速道路で事故に巻き込まれたって。プロパンガスを積んだ大型トラックが、反対車線からいきなり突っ込んできて、衝突した瞬間、大爆発を起こしたみたいで——」


何の話をしているのかわからなかった。“ダイジコ”という単語だけが、頭の中をぐるぐると回った。



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