昼休みが終わる前に。
「私、みんなを助けたくて、十二年後の未来から来てるんだ。昨日もおとといもその前も、『修学旅行に行かないで』って必死に訴えた。だけどね、一日経つと何もかもが全部リセットされちゃうの。昨日全員、修学旅行のしおりの表紙に、『修学旅行に行くな! 行ったら死ぬ!』って書き込んでくれた。でも……」
唯人の修学旅行のしおりを、みんなに見えるように掲げた。
「今日になったら消えてた。綺麗さっぱり、みんなの記憶と一緒に」
言いながら、新たな涙がぽろっと目尻からこぼれ落ちた。教室の中がたちまち騒然となる。
「タイムリープが最初に起きたのは三日前だったの。この旧校舎が取り壊しになるって松下先生から連絡が来て……」
クラスメイトたちがざわめく中、私は静かに続けた。