昼休みが終わる前に。


これまでの経緯をすべて説明すると、沙恵ちゃんはつけまつげをぱさぱささせながら目をまたたき、和也くんと智ちゃんの顔を交互に見た。


「ちょっと待って。これって何かのドッキリ番組?」

「でもいくらドッキリだからって、修学旅行の日に死ぬとか、そんな不吉なこと言わせたりするか?」

「それにあの涙の流し方、とても演技には見えないんだけど」

「じゃあ凛々子は本当に未来から来たってこと?」

「いや、さすがにタイムリープはありえないだろ。きっと悪い夢と混同しちゃってるんだよ」




本当にそうならいいのに。


これまでのことが全部ただの悪い夢だったら、どんなに幸せなことか。


目が覚めてみんながそこにいてくれるなら、夢の中がどんなに苦しくたって耐えられる。


けれど、現実は残酷だ。




悲しいくらい、残酷だ。



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