狼に食べられた如来様。
交渉
冬は寒い。だが今日は、一段と寒い。
そんな中。

「北の妖怪?」

こたつに入り、みかんを食べながらほっこりしていた中。私には、優良(ゆうら)という、名前の通り優良な神候補である、弟子がいた。

女神、守り神といった者たちは、四方に護りに就かなければいけないという制度がある。そういうのは、多大なる神の弟子だとか、有力な神候補だとかがするものであるけど。そこで優良は、北方の護りに就いていた。

「一緒に護りに就いている仲間が、一昨日、護りに行ったっきり帰ってこないんです。そういうことがあってか、北の妖怪が復活したって噂されてるんです」

「北の妖怪って、私が封印したはずでしょう?」

「はい。確かに三年前、亞嶬様が強力な封印をされたはずなのですが、はたまたそれを破り、復活した、というのです」

可笑しな話だと思った。

神は、決して、息ある者を殺すなどしてはいけない。だから、代わりに封印を、というのだ。

北の妖怪は、それなりに強かった。その強さに合わせて、封印の強さも変えなくてはならない。



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