読めない彼の愛し方
21時…、22時…、23時…
今23時17分!!!!
遅い!遅すぎる!!!!
なんの連絡もなしに遅すぎる!
食べずに待っていたのに。
なんか、食欲無くなっちゃった。
悲しくなって
2人分の料理をラップで包み
今日は帰ろう。
と荷物を持って立ち上がった。
…ガチャ。
ドアが開いた。
「あれ?ののか居たの?」
なんて一言目に失礼極まりないこの男は
里中 諒(さとなか りょう) 30歳
わたしの彼氏。…だと思う。
分かりにくいけど
少しだけいつもより機嫌がいい。
お酒を召し上がって来たんだろう。
「居たの?」ってひどくない!?
そりゃ連絡はしてないけど
毎週来てるじゃん。
そんな記憶に残らないほど
わたしって必要とされてないの?
何も言わず、ドアの方へ歩いて行くと
「あれ?もう帰んの?
もう遅いし泊まっていけばいいのに。」
もう、ってずっと居たよ!
あんたが居なかったんでしょ?
「今日は帰る。おやすみ。」
と扉を開けると
「明日休みだから
ゆっくりして行ったらよかったのに。
駅まで送る。」
今までゆっくりしてたわ!
ずっと1人で待ってたわ!
て言葉を飲み込んで諒と一緒に
駅まで無言で歩く。
「あ、コンビニ寄りたい。」
本当に、マイペース。
諒が口を開いたかと思うと、
駅までのコンビニで
欲しいものを物色する諒。
手にはシュークリーム。
こう見えてすごく甘党。
飲んだ後もスイーツが食べたくなるらしい。
「ねえ、ののか。」
呼ばれて行くと、
「これ、ののかの好きなやつ。
新しい味出てるよ。買う?」
そう言って手にしたのは
ポテトスナックの期間限定。
そう、このシリーズが好きで
新しい味を見つけると絶対買っちゃう。
実はこれももう食べた。
「…買う。」
なのに、そんなふとしたことを
覚えていてくれる彼に嬉しくなるのだ。