読めない彼の愛し方
いきなり居酒屋の電気が消えて
店内のBGMが
好きな歌手のお誕生日ソングに変わった。
一緒に手拍子をしてると
店員さんが運ぶケーキがわたしの前に。
「ののか!お誕生日おめでとう!」
驚きながらもケーキのろうそくを
吹き消した。
そうだ、日付が変わって
今日はわたしの誕生日だ!
…忘れてた。
「…佳乃、ありがとう!」
ろうそくを消すとしばらくして
店内の電気がついた。
「お誕生日おめでとう。
ね!ののか!目つぶって!
ののかの幸せを一番願ってるよ。」
佳乃に言われるままに目を瞑る。
「佳乃、」
「だからもう逃げちゃダメ。」
佳乃の真剣な声に黙ってしまう。
「…」
「わたしからのプレゼントね。
ののか、もう目開けていいよ。」
何だ?
と静かに目を開けた。
「…諒。」