俺にもっと溺れろよ。
今、俺が南の表情を見て思ったこと。
......なんか、嬉しそうなんだけど。
顔見て思っただけだし、間違ってるかもしれないけど......。
もし、本当に嬉しがってるとしたら、ちょっと不服だけど......。
「......ん、いいよ。
特別」
"特別"に許してあげる。
「......言って?」
......はぁ、俺ってこんなキャラだっけ?
南の前だとおかしくなる。
「......さ、朔先輩?」
顔を赤く染めながら俺の言葉に答える南。
あぁ、もう。俺から言ってって言ったクセに。
ただ、朝の光景にムカついたから、ちょっと意地悪しようと思っただけなのに......。
ほんと......
「......可愛すぎ」
「......っえ、」
南に、悪戯するつもりが。
──これじゃあ、俺がやられてるじゃん。
ほんと、俺らしくねぇ。
「今、なんて言いました?」
南のその発言で気付く。
え、俺言葉に出てたのか......?
でも、南がそう言うってことは聞こえてはいないみたいだな。