俺にもっと溺れろよ。




──トンッ、トンッ。




昨日の出来事を思い出しながら階段を降りて、リビングに向かう。



ほんとに、夢じゃないよね?



「......痛っ。


ってことは夢じゃない!」




思わず顔がニヤける。




「あら、桃花。


おはよう」



「おはよう!」




「桃花、顔ニヤけてるけどなんかあったの?



昨日も叫び声聞こえたし......」




......ギクッ。



その言葉に、体が固まってしまう。


さすが、お母さん。す、鋭い。



「う、ううん。何もないよ?」



怪しすぎるよ、わたし。


目が完全に泳いでるのが、自分でも分かる。


そんなので、お母さんを騙せるのか......?



「あら、そう?



ご飯出来てるから、食べてちょうだい」




......だ、騙せた〜!!


お母さん、天然だし鈍感なんだよね。


まぁ、別に言ってもいいんだけど......。


でも、お母さん恋バナ大好きだし、知られたら根掘り葉掘り聞かれそうなんだよね......。


だから、このことはバレるまで言わないでおこう......。



「あ、あと。


今日、私たち、高校の時からのお友達と夜ご飯食べる約束してて、夜いないから好きなものでも買って食べてね?」



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