俺にもっと溺れろよ。
ほんとに、なにが起こってるの?
わたしが避けたりするから、とうとう痺れを切らして成敗しにきたとか......?
「なんでって、こっちが聞きたいんだけど......」
......え。
いつもより低い声で不機嫌そうな声の朔先輩。
朔先輩は、確実に怒っている。
だけど、久しぶりに聞く声に、泣きそうになる。
......あぁ、もう。
わたし、1週間したらあのことを聞いて、ちゃんと諦めようって思ってたのに......。
やっぱり、いざ朔先輩を目の前にしたら、心がギュッて掴まれたみたいに苦しくなる。
......ドキドキしてるのが分かる。
「......なぁ、なんで俺のこと急に避けたりすんの?」
朔先輩は、不機嫌な声とは裏腹に、子犬のような目で見つめてくる。
わたしを見つめる先輩は、まるで寂しかったって言ってるみたいで......。
初めて。
......こんな先輩見たことない。
ねぇ朔先輩。
なんで、わたしにそんな表情するんですか......。
そんな表情見せられたら、本当にわたしのこと好きなんじゃないかって勘違いしちゃうじゃないですか。