俺にもっと溺れろよ。




本当はもうちょっと話したかったけど、そんなこといったらキリがない。




わたしが何回目か分からないお礼を言おうとしたときだった。


早瀬先輩が。


「お前さ、なんで俺なの」




そう、聞いてきたのは。



急なことで胸がドキッとしたけど。



答えなんて決まってる。




そんなの1つしかない。




「先輩、だからです!」




早瀬先輩だから。




それしかないですよ。





「答えになってねぇし......」





先輩は呆れたように。
でも、どこか嬉しそうに先輩は言う。



わたしがそう見えてるだけかもしれないけど。



暗いから違うかもしれないけど。






確かに、早瀬先輩からしたら答えになってないと思う。


だけど、わたしにはこれしか答えが出てこなくて......。







「先輩、ほんとにほんとに本当に今日はありがとうございました。


また、学校でどんどん話しかけますね」





わたしは笑顔で早瀬先輩にお礼を言う。

もちろん、アピール言葉を添えて。




早瀬先輩は。


「お好きに」



それだけを言い帰ってしまった。

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