俺にもっと溺れろよ。




困惑してるのが、目に見えて分かる。


もう、とぼけても無駄ですよ。

わたし、見ちゃったんですから。


......もう、ここまで言っちゃったら引き返せないし。

聞くしかない。



「前、女の人と楽しそうに話しながら、コンビニ入って行くの見ました......」



......なんか、自分の口から改めて言うの辛いな。

周りから見たら100人中100人がお似合いって答えるぐらい、完璧な2人だった。


勝手に見て傷ついて、避けたのはわたしなのにね。



「......彼女さんですよね?

可愛くて、とってもお似合いでした......」



精一杯の笑顔。


わたし、なんでこんなこと言ってるんだろ。

自分がさらに傷つくだけなのに......。



「いや、それは......「いいです!......分かってます」」



必死だな、わたし。

先輩の言葉まで遮って......分かってますって答えて。


自分から聞いたのに、答えを聞くのが怖い。


──ドクドクと胸が騒いでいる。



「ちゃんと、分かってます!



......最初から、わたしのことなんてなにも思ってないって......」





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