俺にもっと溺れろよ。
彼女になりたい








──── ドキドキ。



さっきとは、違う音が鳴っているのが分かる。



「......え、どういうこ「ちょっと黙ってて」」



混乱状態の中、ようやく話せた言葉は朔先輩によって遮られてしまった。


黙ってって言われましても。

今、わたし抱きしめられてるんですよ......。

そ、それもバックハグ。


......頭パンクしちゃいそうなんですけど。



諦めるって宣言したばっかなのに。

こんなことされたら、わたしの宣言無効になっちゃう。



「......なんで、俺の言葉聞かずに、帰ろうとするわけ?」



どこか余裕がなさそうな声。

......ねぇ、朔先輩は今どんな気持ちでどんな顔でいるんですか?


後ろから抱きしめらているから、表情は見えない。


「......そ、それは」



......先輩から直接聞くのが怖かったから。

なんて、言えるわけない!!!


って、黙ってって言われたのにちょっと声出てしまった。



「......それは?なに?」



なんか、後ろからも言葉からもすっごく圧を感じるんですけど。



......これ、答えないといけない感じですか?









< 143 / 220 >

この作品をシェア

pagetop