俺にもっと溺れろよ。






「俺、さっき勘違いしたままでいいよって言ったじゃん?」



「......はい」



ずっとその言葉が胸のどこかに引っかかっていた。


「それ、どういう意味か分かってる?」



「......えっ」



先輩からの問いに必死に頭を動かす。


......うぅ〜ん。


必死に考えてみるけど、全然分からない。

てか、このバ、バックハグされてる状態だから余計に分からなくなってる気がする。


もぉ〜全然分かんないけど、何か言っちゃえ。



「......え、えっとそのままか、彼女がいるって勘違いしててってことですか?」



こんなことしか思い浮かばなかった。


言ってから思ったけれどもし、これが正解だったらやばくない?

わたし、さすがに泣いちゃいますよ?



「......はぁ〜」



本日2度目の深すぎるため息が聞こえてきた。


も、もしやこれって正解しちゃったとか......?

それとも、不正解だったから......?



「......全然違う」



正解じゃなくて、よかった......。

でも他に答えがあるってことだよね。


て、てか。先輩の声、凄く不機嫌になってる気が......する。




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