俺にもっと溺れろよ。
「南は、全然分かってないね」
「えっ?」
分かってないってどういうことですか?
もうわたしの頭はそれを考える余裕さえなくなっている。
「俺が勘違いしたままでいいよって言ったのは......」
......言ったのは?
次の発言が気になって仕方がない。
「俺は、誰にでもあんなことしないから、勘違いしたままで、そのまま期待してていいよってことだよ」
「......」
......誰にでも、頭ポンポンみたいな行為しないんですか。
じゃあ、なんでわたしに?
朔先輩のこと、ますます分からなくなる。
「そういうのは、好きな子にしかしない」
......え。好きな子居たんですか?
頭が回っていないのにわたしは、その言葉だけに焦点を当ててしまう。
もう、訳わかんないよ先輩。
「......な、なんで、好きな子いるのにわたしにそういうことするんですか......?」
好きな子いるなら、尚更わたしにそんなことしたらダメじゃないですか。
勘違いしたままじゃダメですよね?
「はぁ〜、もう鈍感すぎ」
本日3度目のため息と"鈍感"というわたしには相応しくない言葉が聞こえた。