俺にもっと溺れろよ。





「......え、えぇ!」



わたしの胸の中では、この思いはどうにも出来ず、とうとう言葉に出してしまった。



「ははっ、驚きすぎ」



いや、驚きますよ。さすがに。

こんなの驚かない方がおかしい。


朔先輩がわたしのことを......好き?

いやいや、改めて考えてみても夢だと思ってしまう。



「......好きだよ。



好きにならないって言ったけど、俺の負け 」




────カアッ。


朔先輩の甘い声と言葉に顔が熱くなる。

こんな顔見られたら、恥ずかしすぎる。

今は、後ろから抱きしめられている状況が、逆にありがたく感じる。


完全に思考停止。

時が先にいってしまっているような気がする。


朔先輩がわたしのこと好きなるとかありえないって思ってたのに......。


もう、驚きすぎて言葉も出ない。



「......ねぇ、南はもう俺のこと嫌いになっちゃった?」



......なに、それ。

そんなわけあるはずがないのに。

何度も諦めようとしたけど、そんなの出来なかった。
むしろ、どんどん好きになっていく一方で......。


ありえないこと過ぎて、わざと言ってるとしか思えない言葉。




< 149 / 220 >

この作品をシェア

pagetop