俺にもっと溺れろよ。
「......え、えぇ!」
わたしの胸の中では、この思いはどうにも出来ず、とうとう言葉に出してしまった。
「ははっ、驚きすぎ」
いや、驚きますよ。さすがに。
こんなの驚かない方がおかしい。
朔先輩がわたしのことを......好き?
いやいや、改めて考えてみても夢だと思ってしまう。
「......好きだよ。
好きにならないって言ったけど、俺の負け 」
────カアッ。
朔先輩の甘い声と言葉に顔が熱くなる。
こんな顔見られたら、恥ずかしすぎる。
今は、後ろから抱きしめられている状況が、逆にありがたく感じる。
完全に思考停止。
時が先にいってしまっているような気がする。
朔先輩がわたしのこと好きなるとかありえないって思ってたのに......。
もう、驚きすぎて言葉も出ない。
「......ねぇ、南はもう俺のこと嫌いになっちゃった?」
......なに、それ。
そんなわけあるはずがないのに。
何度も諦めようとしたけど、そんなの出来なかった。
むしろ、どんどん好きになっていく一方で......。
ありえないこと過ぎて、わざと言ってるとしか思えない言葉。