俺にもっと溺れろよ。
先輩は、クールで無愛想。いや、もの静かに見える。
だけど、ほんとはすっごく優しい。
“お好きに”。
一件、冷たいように聞こえるだろう。
だけど、ほんとはすっごく暖かい。
だって、この言葉はわたしをこんなにも暖かくするんだから。
そんなことを思ってしまうわたしは、きっと重症だ。
わたしはそっとつぶやく。
“早瀬先輩、ほんとにほんとに大好きです”
この言葉を早瀬先輩に届けるかのように5月の暖かくも少し肌寒い風が吹いた。
そして、わたしは今日の出来事を振り返って思うことがあった。
......それは。
クールな早瀬先輩はどこかどこか──。