俺にもっと溺れろよ。
向かい合っているから朔先輩の顔がよく見える。
さっきまでは顔が見えなかったからか、今のこの状況に、よりドキドキしてしまう。
......ち、近すぎる。
こんな至近距離で見つめられて恥ずかしすぎるよ......。
今のわたしの顔は、さっきよりも真っ赤に染まっていると思う。
「......俺の南に対する好きは、後輩としてじゃなくて」
「......え」
なんか顔がだんだん近づいてきてる気が......。
「こういうことだよ」
────チュ。
そうして、私の唇に温かいものが触れた。
何、今の?
も、もしかして。今わたし、キ、キ、キスされた?
「......」
「ただの後輩にこんなことしない。
俺の好きの意味分かった......?」
朔先輩は、片方の口角を少しあげながら、放心状態のわたしを見つめる。
なんですか、その余裕そうな笑みは。
それに対し、今のわたしに余裕はゼロ。
その言葉にわたしは、コクコクと頷くことしか出来ない。
「ほんと、かわい......」
また、可愛いって聞こえた気がするけど、これはまたわたしの聞き間違いだよね。