俺にもっと溺れろよ。

「......もう、風ちゃん、ドッキリ仕掛け......た、でしょ......」




どうやら、友達がこんなことしたと思ったらしい南は、顔を上げたと同時に驚いた顔をした。


まさか、俺だとは思わなかったんだろうな。


とっくに、俺のこと忘れてたとか？


それともほんとに、俺のこと嫌いになったからそんな顔してんの......？




「......えっ、なん......で」



「なんでって、こっちが聞きたいんだけど......」





......どうして、俺のこと急に避け始めた？


こんなあからさまにさ......。



「......なぁ、なんで俺のこと急に避けたりすんの？」



ちゃんと聞くまで、ほんとに帰さないから。



「......わ、わたし用事があるので、すいません」



用意なんてあるわけない。

......あるなら、俺にでしょ？


俺は、この空き教室から帰ろうとする南の手を




──── パシっ。




掴んだ。


......帰すわけない。

なんで、ここまで俺を避けようとすんの。



「だめ。逃がさないよ？」



「え......」