俺にもっと溺れろよ。





そんなことわざわざ試すとか、可愛いにもほどがある。



「あ〜、かわい。



俺も、好きだよ......」




......俺ってこんなだっけ。

ほんと、南を前にすると自制が効かない。


......すると、南が口を開いた。



「......あ、あの大変恐縮なんですが......。



朔先輩の好きは、恋愛としてじゃなくて、後輩として好きってことですか?」




......え?

耳を疑った。

まさか、まだ伝わってなかった......とか?

どうやったらそんな考えが思いつくの?



「......はぁ、もうほんとに天然。



そんなわけないじゃん」



......天然にも程がある。



「......え」



ほんとに、分かってなかったみたいだな。


ここまで、言ったのに分かってないとか。

きっと、こうするしかない。


......もう。しっかり教えてやるよ。



「......ねぇ、南こっち向いて......」



抱きしめていた腕を外して肩を持ち、自分の方へと体を向かせる。


突然のことに驚いている様子。


......頬には、ほのかに残る紅色。




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