俺にもっと溺れろよ。
「どれも、可愛くて悩むね〜!」
「桃花、これとか似合いそうだけど......」
「......可愛い」
風ちゃんがオススメしてくれた浴衣。
白地に水色の水彩紫陽花が描かれてある。
帯は、淡いピンク色。
可愛いけど、大人っぽくもある。
まさに、わたしが求めていた浴衣。
「風ちゃん、天才だよ!
わたし、これにする!」
これしかないもん。
「でしょ!ほんと、桃花にぴったりだよ。
これで、朔先輩もイチコロね......」
「風ちゃん!な、何言ってんの......!」
ほんと、風ちゃんすぐそういうこと言うんだから......。
......でも、少しでも可愛いって思ってくれたら嬉しいな。
少しの期待を込めて、浴衣を購入した。
「まだ、早瀬先輩には出し物なにするか、言ってないのよね?」
「......うん、サプライズみたいな感じでやりたいの!」
「うちの学校、結構他のクラスや先輩達のクラスの出し物、当日まで隠しておくっていう暗黙のルールみたいなのあるもんね......」
その方が、当日ドキドキするし楽しめるもんね。
もうそこまで、文化祭は近づいてきている──。