俺にもっと溺れろよ。









店番をやり始めて、1時間が立った頃。



「桃花ちゃん、やっほ!」



その声に振り返ると......。



「あっ、陽翔くん来てくれたの!?」



陽翔くんに会うのは、久しぶりな気がする。

廊下とかであったらたまに話すけどね......。



「うん、店番午後だし、桃花ちゃんのクラス賑わってるみたいだし、来ちゃった」



「そうなんだね!来てくれてありがとう」


来てくれて、嬉しいな。



「あらら、早瀬先輩。山下に先越されちゃったわね......」



「え、風ちゃんなんて言った?」



「別に大したことじゃないよ」




そう......ならいいけど。


人の声が至る所で聞こえるから、上手く聞き取れなかった。

だけど、風ちゃんがそういうなら、ほんとに大したことなかってことだよね。



「......桃花ちゃん、浴衣似合ってるね。



可愛い......」



「......え、ほんと!?嬉しい......」



男の子にそう言われると照れちゃう。

お世辞でもなんでも、その言葉が聞けただけで嬉しい気持ちになっちゃうんだよね女の子は。




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