俺にもっと溺れろよ。
警察官の格好をしているはずなのに、少しチャラさもあって、凄くいい。
チャラい感じの朔先輩......初めて見るけど、胸が高鳴りすぎて辛いぐらい好き。
これが......ギャップ萌えというものか。
普段とは違うところや姿を見たら、こんなにドキドキするんだ......。
「ねぇ、なにその格好......」
「え」
「今までずっとその格好だったワケ?」
......朔先輩、なんか怒ってる?
この低い声は、不機嫌のオーラを纏っている。
わたし、この数秒の間になにかしちゃった?
「夏輝、ちょっと抜けるわ......」
「......はいはい、分かってたよ」
......ぬ、抜けるってどういうこと!?
天沢先輩も、なに当たり前みたいに返事してるんですか!?
分かってたよって何が!?
「......え、ちょっとさ、朔先輩!」
手を握られて、教室から抜け出そうとする先輩。
わたし、警察喫茶でお茶するの楽しみにしてたのに......。
ほんとに、どうしちゃったんだろう。
道中、朔先輩は黙ったまま。
「え、ここって......」
──── そして、着いたところは、前にも連れてこられたことがある、空き教室だった。