俺にもっと溺れろよ。
「......はいはい」
夏輝に背中を押されて、嫌々足を踏み出す。
......あぁ〜、早く桃花に会いたい。
最近は、文化祭の準備が忙しすぎて、前以上には会えてなかった。
その分、電話とかは増えたけど......やっぱり、直接会いたい。
早く終わって、午後になってくんねぇかな。
俺と桃花の店番は、午前で一緒だったから、午後一緒に回る約束をしている。
ほんと、早く終わってくれ......。
「......メニュー、オススメってなんですか?」
無駄に上目遣いで、そう聞いてくる女。
......決めてから注文しろよ。
なんて、一応客だし......言えるわけもなく。
「こちらがオススメです......」
作り笑顔で接客する。
......はぁほんと、疲れるわ。
「あっ、じゃあこれで!」
「かしこまりました......」
「あっ、あの連絡先とかって......交換できますか?」
......結局、これかよ。
ほんとに、めんどくさいんだけど。
相手が全員桃花だったらよかったのに。
「......すいません、それはちょっと無理です」