俺にもっと溺れろよ。
そして、入学式。
保護者や先輩方。先生。
多い。多い。当たり前だけど人が多すぎる。
だけど、中学校よりも体育館は広いからから......思ったよりギュウギュウ詰めではない......。
新入生が一人一人名前を呼ばれ返事をしていく。
こういうのすごい緊張する。
声が裏返ったりしそうになるからハラハラする。
でも、ここできっちり返事が出来たらわたしはヒーローだ。
さすがに痛い。
この状況でそんなことを考える自分。
逆にすごいかも。
バカすぎることを考えていたらもうそろそろ自分の名前が呼ばれるとこまできていた。
ドクドクいう心臓。
ついにそのときがきた。
『南 桃花』
緊張しつつも返事をする。
「はぁい」
はい。終わり︎ました。
今、完全に声裏返りました。
一見普通なのよ。だけど、普通じゃないのよ。
案の定、周りのみんな笑ってる。
「あはは」
わたしも引きつる笑顔を見せながら座る。
わたしはヒーローにはなれなかったみたい。
みんなは普通にできてるのに。
はぁ。ほんとついてない。
絶対、風ちゃんに教室帰ったら笑われるじゃん。
もう笑ってるけど。