俺にもっと溺れろよ。






「今までずっとその格好だったワケ?」



......声が低くなる。

夏輝がさっき言ってたことが理解出来た。



「夏輝、ちょっと抜けるわ......」



「......はいはい、分かってたよ」



......こんな場所にいたら、おかしくなりそう。


早く、2人きりになりたい。



「......え、ちょっとさ、朔先輩!」



桃花の手を握り教室を抜け出す。

浴衣で歩きにくいだけど、ちょっとだけ我慢して。


......誰も見んな。


俺は、黙ったまま、



「え、ここって......」




あの空き教室に連れてきた。


ドアを少し乱暴に開けて入り、、、



──── ガチャ。



中から鍵を閉める。

......はぁ、やっと2人きりになれた。



「朔先輩......?」



状況が理解できていないであろう桃花は、心配そうに俺を見つめる。



......可愛い。



だからこそ、イライラする。

こんな可愛い子が、接客してたとか......マジでありえない。

......ナンパとか、されてそうだし。


浴衣似合いすぎだし、メイクも髪型もいつもとは違う。





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