俺にもっと溺れろよ。





せめて、俺が一番最初に見たい。



「......ごめん、手錠外すね」



おもちゃだから、すぐに外れる。

ちょっと強引すぎた......。



「......嬉しい」




「......え?」



ひどいって怒られるかと思ってたのに。

今......嬉しいって言った?



「......わたし、浴衣このために新しく買ったんです......。


朔先輩に褒めて欲しくて、ちょっとでも朔先輩に近づきたくて買ったんです。だから、今褒めて貰って嬉しいです」



その頬は、少し赤らめている。

だけど、その顔はとても嬉しそうだ。


......純粋すぎて、忠告してもダメそうだな。


だけど......。

そんな可愛いこと言うのは俺の前だけにして。


言わないだろうけど......他の男にそんなこと言ったら俺、怒っちゃうからね。


......これを天然で言ってるところがほんとに小悪魔。



「浴衣、似合ってる......可愛い」



「......もう、褒めなくて大丈夫です......恥ずかしい......」




......こういうところ。


さっきまで、嬉しそうな顔してるのに......今は顔を真っ赤にしている。





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